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基礎技術

【基礎技術】上向&下向アルペジオ

ここでは、クラシックギターのアルペジオについて学び、練習していきましょう。
ぜひこのページを最後までやって、アルペジオの基本を習得して下さい。

アルペジオとは

アルペジオ(イタリア語)とは、分散和音という意味です。
わかりやすく言うと「和音をバラして弾くこと」という意味になります。

 

このアルペジオ奏法を用いたギターの曲では、以下のような曲が有名です。

  • 禁じられた遊び – A. ルビラ 作曲
  • 練習曲 第1番(エチュード No. 1) – H. ヴィラロボス 作曲
  • 月光(エチュード Op. 35-22) – F. ソル 作曲

 

それでは、実際に弾いてみましょう。
以下、私が作ったエクササイズに沿って、説明していきます。

譜例1 – 上向アルペジオ

上向アルペジオとは、音が高い方へと上がっていくアルペジオのことです。
上行アルペジオとも書きます。

練習するときには、ただ闇雲に練習するよりも、しっかりと要点をおさえた上で反復練習することが上達の近道です。
これは何事にも当てはまるかと思いますので、ぜひ意識して取り組んで下さい。

ここでは、悪い例と良い例を2つずつ紹介します。
ぜひこれらの要点をおさえて、練習してみてください。

1. 右手がピョコピョコ跳ねる

なぜピョコピョコするのかというと、腕を動かしているからです。
ギターは基本的に腕は動かさずに、指の付け根の関節(ナックルの関節)から動かして弾きます。

和音を連打する時には腕の動きを使いますが、アルペジオでは動かしません。

ピョコピョコしてはいけない理由は、

  • 速く弾けなくなる
  • ミスタッチが増える
  • 音色や音量のコントロールができなくなる

からです。

続いて、2つめの悪い例です。

2. 指を弦に置く

なぜimaの指を弦に置いてしまうのかというと、不安だからです。

先生によっては、あえて置いてから弾くように指導する先生もいます。
その考え方を否定するつもりはありません。
どちらが良いのか、自分で考えて選択することを勧めます。

置いてはいけない理由は、

  • 音が切れる
  • リズムが乱れやすくなる
  • 弾けない曲が出てくる

からです。

弦に指を置いて弾く人は、参考動画に挙げたヴィラロボスの練習曲 第1番で、すでに弾けなくなると思います。

変な癖を身につけてしまうと、あとで困ることになるので、最初から正しい癖を身につけていくことを勧めます。

 

上向アルペジオにこそ注意

例えば、禁じられた遊びのような下向アルペジオの曲では、あまり置きたい衝動が出ません。
ですが、以下のような上向アルペジオの曲では、無意識に置きたくなると思います。

譜例2 – ソルのメヌエット(Op. 11-6)

譜例3 – ソルのメヌエット(Op. 11-6)

これは、ソルのメヌエット(Op. 11-6)の一部分です。
無意識に置きたくなると思いますので、試しにぜひ弾いてみて下さい。

 

大事なことは、理屈よりもどちらが音楽的に良いのか、耳でわかるようになることです。

逆に言えば、違いがわからない場合には置いても差し支えない
ということになります。

参考に置いているバージョンと置いていないバージョンを撮りましたので、音楽にどのような影響があるのか、耳でチェックしてみて下さい。

次に良い例を2つ挙げます。

良い例とは、悪い例をしていない弾き方です。

  • ピョコピョコ跳ねていない
  • 弦に触れていない

これさえ守れれば、もう合格です。

アポヤンド奏法 アルアイレ奏法

アポヤンド奏法とは、アポヤール(もたれかかる)という動詞からできており、となりの弦にもたれかかる弾き方のことです。
英語圏では rest work といいます。

もう一つのアルアイレ奏法とは、もたれかからない弾き方のことで、英語圏ではティランドといいます。

アポヤンドの特徴
  • 太く、芯があり、丸く、大きな音が出しやすい
  • となりの弦に触るので、となりの弦の余韻が消える
  • 基本的に単旋律の時に使用する
アルアイレの特徴
  • となりの弦に触れないので、余韻が残る
  • 基本的に和音、アルペジオ、トレモロの時に使用し、
    また単旋律の時にも使用する
  • アポヤンドのような音色を出すこともできる

 

以下の良い例では、この2つの奏法を使い分けて弾いてみましょう。

1. 良い例(ベースをアルアイレで弾く)

 

2. 良い例(ベースをアポヤンドで弾く)

次は、ベースだけアポヤンド奏法にして弾いてみましょう。
アルペジオの曲でもベースだけアポヤンドで弾く、ということをよく行います。

その理由は、以下の通りです。

  • ベースラインを強調できる
  • pの指を置いておくことで、右手が安定する(ピョコピョコが防止できる)

色々な弾き方を習得することで、今より器用になり、引き出しを増やすことにつながります。
ぜひ、チャレンジしてみてください。

上向アルペジオの解説は、これで終わりです。

次は、下向アルペジオ(下行アルペジオとも書く)の解説に移ります。
ですが、要領は上向アルペジオで説明したことと同じです。
以下の要点を守って、下向アルペジオも練習してみてください。

譜例4 – 下向アルペジオ

要点まとめ
  • ピョコピョコ跳ねない
  • 弦に触らない

下向アルペジオの場合は、上向アルペジオの時ほど弦に触らないで済むと思います。

他の曲を弾く時にも、

上向アルペジオでは、弦に触らないよう注意する

これに注意を払っておくだけで演奏が変わってくると思います。

 

最後に

オススメの練習曲を紹介して終わりたいと思います。
楽譜もダウンロードできます。(但し、転用は禁じます)
ぜひ練習してみてください。

M. ジュリアーニの上向下向アルペジオの練習曲(Op. 100-2)

J. S. サグレラスの上向下向アルペジオの練習曲

M. ジュリアーニの上向下向アルペジオの練習曲(Op. 83-1)