私のギター教室には、現在たくさんの生徒さんが通われています。
(開講しているコース:エレキギター、アコースティックギター、クラシックギター、フラメンコギター、カホン)
何人かの生徒さんと話をしていて、以前から気になっていたことがあります。
それは、私の教室に習いに来られる生徒さんにはなぜかピアノ経験者が多いということです。
以前、私が産経新聞の取材を受けた時に、「コロナ禍においてギターを習い始める人がとても増えている」ということは話させていただきました。
上記の記事と通じるところも多々あると思うのですが、せっかくなので何人かの生徒さんに質問させていただいて、なぜピアノではなく、ギターを選んだのかを訊いてみました。
その結果、もちろん人それぞれの理由があるのですが、「なるほど、確かに!」と思える結果が見えてきました。
ピアノにはない手軽さ
やはりギターに転向した理由としては、以下のような楽器の手軽さが大きいようです。
- 携帯性(場所をとらない)
- 楽器が安い(安ければ1万円くらいから始められる)
- 近所迷惑にならない(サイレントギターなら夜でも弾ける)
ピアノもギターも伴奏楽器
では、なぜギター以外の楽器ではなかったのかというと、その答えははっきりしています。
ピアノもギターも、伴奏楽器であり、ソロ楽器でもあるからです。
逆に言うと、ピアノとギター以外に伴奏楽器・ソロ楽器は、無いのではないでしょうか?
伴奏楽器とは、歌の伴奏やフルート・ヴァイオリン等の旋律楽器の伴奏ができる楽器のことです。
そして、伴奏楽器の大きな特徴の一つは、メロディ・和音・ベース等を一人で演奏することができるため、ソロで成立するということです。
ピアノを弾いている人は、基本的にソロが多いわけですが、ギターも同じです。
クラシックギター、アコースティックギター(昔で云うフォークギター)、フラメンコギターは、ソロで練習することがほとんどです。
エレキギターでも、最近ではオケ(カラオケ)も簡単に作成できるので、ソロで練習できます。(DAWでステム機能を使えば一瞬です)
その理由から「ピアノをやっていたけど、ギター(ソロ)をやってみよう!」という人が多いようでした。
ギターの難しさ
皆さん、ギターを弾いたことがある方ならご存知かと思いますが、ギターは難しいです。
楽器はどれも難しいのですが、ギターの難しいところは下記のとおりです。
- 左手は押さえる
- 右手は弾く
- でも時々左手でも弾く
- 同じ音(ユニゾン)が色んな場所にある
ユニゾンとは、全く同じ高さの同じ音のことで、完全一度ともいいます。
高さが違う同じ音の場合は、オクターヴといいます。
ユニとはラテン語で一つのことです。(例)
- ユニ コーン(角)は、一角獣のこと
- ユニ フォーム(形)は、一つの衣装のこと
ピアノはというと、
- 右手も左手も叩く
で非常にシンプルです。
私が小学生からしかレッスンを行っていない理由は、ここにあります。
ギターは右手と左手が別々の役割に担っているので、未就学児には難しいと思うのと、それよりも未就学児には、ソルフェージュやリトミックの能力を伸ばしてあげる方が合理的だと思っているからです。
話が逸れましたが、ピアノ経験者でショパンの曲など結構難しい曲を弾いてきた人でも、ギターのこの難しさに苦労しているのを見ると、そこにギターの面白さ(じゃじゃ馬を乗りこなしたい的な)があるようにも思います。
苦痛なレッスンからの解放
それと、若い生徒さんに結構多かったのがこれです。
- 毎日練習しないといけない
- レッスンが毎回同じような内容で飽きてしまった(でも練習しないと怒られる)
これでは、誰でも嫌になってしまいますね…。
レッスンでは逆に、
- レッスンが楽しい
- 毎回何か発見や気付きがある
- 上達が実感できる
これらは大前提だと思います。
ギターの音色に惹かれた
そして最後に、圧倒的に多かったのがこの理由でした。
これには私も驚きました。
でも考えてみると、きれいな音というのは音楽の本質であるともいえますね。
毎日接しているうちに当たり前になり過ぎてしまっていましたが、大事なことを思い出させてもらえました。
ギター(特にクラシックギター)は、直接指で触れて音を出せる楽器です。
私が知る限り、指で直接弦に触って音が出せる楽器は、ギターとハープのみです。
直接触れられるということはとても大きなメリットで、人間の指先には多くの神経が集中しているため、繊細なニュアンスを表現することが可能になります。
そして、ギターは同じ音(ユニゾン)でも弾く弦によって音色が変わったり、音程をコントロールすることができるので、私は楽器の中で最も歌っているように演奏することのできる楽器だと思っています。
この特性を使って、エレキギターではまさに泣くように演奏しますよね。
それがギターの強みになり、多くの人の琴線に触れ、ギターを弾いてみよう!と思わせる魅力なのかもしれません。
余談ですが、
指先を動かすことで脳の血流が増え、脳の活性化や認知症の予防、運動機能の向上などの効果が期待できます。また、指先を器用に動かすことで、集中力や思考力、創造力などが向上し、学習意欲や集中力も高まると云われています。
これは、子どもも大人も共通のメリットのようです。
特に私のご高齢の多くの生徒さんは、皆さん口を揃えて「頭の体操に良い!」と言いながらも、悶絶されています。