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基礎技術

【基礎技術】スラー① – 準備編(上向スラー)

ここでは、まずクラシックギターの上向スラー(ハンマリング・オン)の弾き方について学び、練習していきましょう。
ぜひこのページを最後までやって、上向スラーの基本を習得して下さい。

スラーとは

スラー(英語:slur)とは、

  1. 音と音を滑らかにつなぐという音楽表現上の意味と
  2. 技術的な奏法の指示

の二種類があります。
ギターでは、❷技術的な奏法の指示として用いられます。
ギターの楽譜では、音楽表現としてのスラーは基本的に書きません。

スラーの用語と弾き方

クラシックギターの場合

  • 音が高い方へスラーする場合は、左手で弦を叩いて音を出します。
    これを上向スラー(上行スラーとも書く)といいます。
  • 音が低い方へスラーする場合は、左手で弦を弾いて音を出します。
    これを下向スラー(下行スラーとも書く)といいます。

実際には、上向スラーも下向スラーも区別せず、ただスラーとだけいうことが多いです。

エレキ・アコギの場合

  • 上向スラーのことは、ハンマリング・オン(hammering on)といいます。
  • 下向スラーのことは、プリング・オフ(pulling off)といいます。

個人的には、こちらの言い方の方が、イメージがつかみやすいと思います。

 

このスラーを用いたギターの曲では、以下のような曲が有名です。

  • 魔笛の主題による変奏曲(Op. 9) – F. ソル 作曲
  • アンダンテ・ラルゴ (Op. 5-5) – F. ソル 作曲
  • グラン・ホタ – F. タレガ 作曲

 

それでは、実際に弾いてみましょう。
以下、私が作ったエクササイズに沿って、説明していきます。

譜例1 – 上向スラー(高音弦)

ルール
  • 高音弦は、imの指で弾きます。
  • 1の指から3の指へスラーをする時(ドからレにスラーする時)には、1の指を弦から放さないこと。
    理由は、音が途切れるからと、左手が不安定になる(ミスタッチが増える)からです。
コツ
  • フレットのキワを狙って、弦に対して垂直に打弦すること。
  • 弦は指頭で叩くこと。(指の腹で叩いてもきちんと音が出ません)
  • それでも音が出ない場合は、打弦時の初速度が遅いことが原因です。

初速度とは、物体が運動し始めた瞬間の速度のことです。

(例文)
富士急ハイランドには、発射1秒で時速180kmに達するという、驚異の初速度を誇るドドンパというジェットコースターがある。

 

それでは次に、上向スラー時にやってはいけない弾き方を2つ挙げます。
こうならないように注意しましょう。

腕を振る

(または手首)を振ってはいけない理由は、

  • 着地点が定まらず、ミスタッチが増える
  • 指がバタバタして、衝撃でギターもガクガク揺れる
  • 弾けない曲が出てくる

等々、実用的でない要素が多いです。

指を振りかぶる

大きい音を出そうとするあまり、指を大きく振りかぶってしまうと、上記の腕を振った時と同じ問題が生じるため、実用的ではありません。

指を上げるのは、実際には弦から2cmまでで十分です。
それ以上上げようとすると、指が根元の関節から逆そりし始めて、スラーには必要のない別の動きが入ってくるので、止めましょう。

2cm以内でも、初速が速ければ問題なく発音できます。

 

続いて、低音弦でも練習してみましょう。

譜例2 – 上向スラー(低音弦)

ルール
  • 低音弦は、pの指で弾きます。
  • スラーする時に元々押さえていた指は、そのまま弦から放さないこと。
    理由は、音が途切れるからと、左手が不安定になる(ミスタッチが増える)からです。
コツ
  • フレットのキワを狙って、弦に対して垂直に打弦すること。
  • 弦は指頭で叩くこと。(特に4の指)
  • それでも音が出ない場合は、打弦時の初速度が遅いことが原因です。

 

高音弦の時と同じで、

  • (手首)を振らない
  • 2cm以上指を振りかぶらない

この2点に注意しましょう。

 

準備編・上向スラー(ハンマリング・オン)の解説は、これで終わりです。

 

まとめ

上向スラーをキレイに出す上で大事なことは、

  • 腕を動かさない(指の根元の関節からの動きだけを使う)
  • 2cm以上振りかぶらない
  • フレットのキワを指頭で叩く
  • 軸になる指は放さず、置いておく

等、色々と解説してきました。
これらのことは、とても大事なポイントです。
ただ私は、スラーで音が出ない人の最大の原因は、打弦時の初速度にあると思っています

 

次は、【基礎技術】スラー② – 準備編(下向スラー)へ進みます。
次の下向スラーは、今回の上向スラーとは異なるテクニックですので、
まずはこの上向スラーをしっかりとマスターしてから、次の下向スラーへ進みましょう。