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クラシックギターのためのHow toを初心者向けに書いています
基礎技術

【チューニング】調弦チャレンジ

ギターには、音程を自由にコントロールできるという、他の伴奏楽器には無い大きなアドバンテージがあり、音程の綺麗なギター演奏は、本当に美しいです。

この大きな利点を活かすためには、【聴く力】を養う必要があります。

私が曲を演奏する時には、

  • 自分が出した音が、ハーモニーとして綺麗かどうか
  • アンサンブルで、相手の音を引き立てる音程はどこか
  • この音は、高く弾くべきか、低く弾くべきか

等々、色々なことを考えながら弾いています。

これは音程がコントロールできるギターならではのアプローチで、ギターの最大の武器といっても良いかもしれません。
このことを意識している演奏とそうでない演奏は、普段から音程を意識している人にはすぐにわかります。
それほど、その差は明瞭です。

ここではその第一歩として、耳で合わせる調弦(チューニング)のメリットと仕方をお教えします。

メリット

チューナーを使わず、耳で調弦ができるようになると、たくさんのメリットがあります。

例えば

  • 音程の調和やうなりを感じられるようになる
  • 曲を弾きながら調弦できるようになる
  • チューナーを使うよりも早く調弦ができるようになる

そして、更に【聴く力】がついてくると、

  • 楽器をより響かせられるようになる
  • より美しい音楽を追求できるようになる
  • アンサンブルがより楽しくなる

等々、メリットしかありません。

私の教室では、小学生の生徒さんから耳で調弦できそうならチャレンジしてもらっています。

 

ここで、余談を3つ紹介します。

余談1

レッスンでただ調弦の練習をするだけだとつまらないので、調弦チャレンジと銘打って

1:30以内に調弦を全て正確に合わせられたら、賞品をプレゼント!

という挑戦を、ゲーム感覚でやってもらっています。

余談2

私は、合奏の練習時に音叉もチューナーも使いません。

理由は、周りで弾いている皆さんの音が、調弦済みだからです。

そこらで響いている音を拝借しながら、合わせています。(ズボラなので…)

でも昔、まだ440hzが世界標準と規定される前(音叉もチューナーもない時代の人)は、みんなそうやってその場のハーモニーに合わせていましたし、ギターは弾いている最中にも調弦が狂ってくるので、弾きながら合わせることはできた方が望ましいです。

余談3

以前、私の友人が

「チューナーが楽でずっと使っていたら、うなりが聞こえなくなった」と言っていました。

これは怖いですね。

それでは、実際に耳で行う調弦の方法をお伝えします。

ハーモニクスを用いた調弦

まずは、ハーモニクスを用いた調弦からお教えします。

必要になるもの = 音叉(440hz)

K&M ( ケーアンドエム ) / 168/1 音叉

440hzの音叉は、必須アイテムです。
音叉は、混じりっけなしの純粋なラ(A)の音を出してくれます。

混じりっけのない音のことを純音といいますが、音叉が傷ついてしまうと純音ではなくなってしまうので、机の角等のあまり硬い場所でコツンとしないよう、気をつけましょう。

もっと安い音叉も売っていますが、重量が軽すぎて音量が出ないので、使いにくいです。
上記のものがおすすめです。

動画(チューニングの方法)

動画の方が分かりやすいという方は、こちらをご覧ください。

解説

以下は、動画の内容を文章で詳しく解説しています。

音叉の使い方と⑤弦の合わせ方

調弦をする時には、まず最初に音叉を使って⑤弦を合わせます。
手順は、下記の通りです。

  1. 下の動画のように音叉を手に持ちながら、⑤弦Vフレットのハーモニクスを出します。
  2. 手に持っている音叉を膝の頭にコツンとします。
  3. 音叉が振動したら、ブリッジの上に音叉の丸い部分を優しく当てます。
  4. ハーモニクスのラの音と音叉のラの音が、空気中で互いに響きあっているのを聴きます。
  5. うなりが発生していたら、⑤弦の糸巻きをどちらかに回します。
  6. うなりが無くなるまで①から⑤の手順を繰り返し、うなりが聞こえなくなったら完了です。
コツ
  • ハーモニクスを弾く時は、少しブリッジ寄りの辺りで弾くこと
  • ハーモニクスは、pの指のアポヤンドで大きな音を出すこと
  • ハーモニクスは、フレットの真上で弦に触るだけ。弦は押し下げないこと
  • ハーモニクスが鳴ったら、慌てずに左手を弦から放すこと
  • ハーモニクスは何度も弾かずに、一度で大きな音を出すこと
  • 音叉をコツンとした時に、ハーモニクスの音量と同じくらいになるように調整すること
  • 響いている音を消さないように、糸巻きを回すこと
  • 音程ではなく、うなりを聴くこと(←これが一番大事!)
  • うなりが分からなくなったら、一度⑤弦を音程の低い方にわざと狂わせて、リセットしてからやり直すこと
  • 全てをスピーディに行うこと

 

音叉の役目は、ここで終わりです。
これで⑤弦が合わせられましたので、この⑤弦を基準にして残りの弦を合わせていきます。

⑥弦の合わせ方

⑤弦が合ったら、次は⑥弦を合わせます。

⑥弦Vフレットのハーモニクス と ⑤弦VIIフレットのハーモニクス

が完全に同じ音程になるよう、うなりを聴きながら合わせます。
この時、せっかく合わせた⑤弦の糸巻きを間違えて回さないようにしましょう。

コツ
  • ハーモニクスは、弦を押し下げず、弦に触れるだけ
  • 弦には、フレットの真上で触ること
  • 右手はpの指で、駒寄り(ブリッジ寄り)でしっかりとアポヤンドで弾くこと
  • 何度も弾かずに、一度で大きな音を確実に出すこと
  • ハーモニクスが鳴ったら、慌てずに弦から指を放すこと
  • 両方のハーモニクスの音量をそろえること
  • 分からなくなったら、低い方へリセットして、やり直すこと

このやり方で、他の弦も合わせていきます。

④弦の合わせ方

⑥弦の調弦が終わったら、次は④弦を合わせます。

⑤弦Vフレットのハーモニクス と ④弦VIIフレットのハーモニクス

が完全に同じ音程になるよう、うなりを聴きながら合わせます。

③弦の合わせ方

次は、③弦を合わせます。

④弦Vフレットのハーモニクス と ③弦VIIフレットのハーモニクス

が完全に同じ音程になるよう、うなりを聴きながら合わせます。

③弦からは弦の材質が異なるため、少しうなりが聞こえにくくなりますが、集中してよく聴くようにしましょう。

②弦の合わせ方

次は、②弦を合わせます。

⑥弦VIIフレットのハーモニクス と ②弦の開放弦

が完全に同じ音程になるよう、うなりを聴きながら合わせます。

①弦の合わせ方

最後に、①弦を合わせます。

⑤弦VIIフレットのハーモニクス と ①弦の開放弦

が完全に同じ音程になるよう、うなりを聴きながら合わせます。

最後に番外編として、⑥弦をレに下げるチューニングもお示しします。

⑥弦Dの合わせ方

ギターの曲では、調弦を変えて弾く曲が時々出てきます。

よくあるのが、⑥弦をミからレに下げるというものです。

合わせ方は、2通りあります。

  • ④弦開放弦がレなので、弦と④弦の開放弦を同時に弾いて、オクターブで合わせる
  • オクターブだと分かりにくいという場合は、
    ⑥弦XIIフレットのハーモニクス と ④弦の開放弦を弾いて、ユニゾンで合わせる。
コツ
  • 弾く前に、予め⑥弦の糸巻きを軽く3回下げる(そうすると大体レになっています)

 

以上です。

これが1:30以内にできたら、私の教室では賞品が出ます。

挑戦したい人は、レッスン前に「調弦チャレンジがやりたい」と言って下さい。

今回は、ハーモニクスを用いた全てユニゾン(同じ高さの音)での調弦の方法をお伝えしました。

今回の動画内では、最後に開放弦を用いた方法もかいつまんで紹介しました。

ハーモニクスの調弦をマスターした人は、開放弦での調弦【調弦チャレンジ(改)】にもチャレンジしてみて下さい。