ここでは、【初見】準備編が終わった方のために、実践編としてF. ソル作曲の二重奏曲を12曲用意しました。
【初見】準備編が終わっていない方は、ほぼ間違いなくついていけないと思いますので、先に準備編をマスターしてからチャレンジすることを勧めます。
また、【初見】メカニズム – 予備知識編で書きましたとおり、事前に練習してしまうと意味を成さないので、初見の上達を目指す人はご注意下さい。
フェルナンド・ソル(1778 – 1839)の二重奏曲の中から、作品44bisと作品39の2つを初見の練習用にピックアップしました。
この曲は、ソルのギターの生徒だったリラ嬢のために書かれた作品で、難易度は低めです。
リラ嬢が弾くために書かれた1stのパート譜には、ソルの曲にしては珍しい程、運指が懇切丁寧に書かれています。
私の録音では、その運指を正確に守って弾いています。
ちなみに、2ndパートは先生のソルが弾くためのパートなので、運指は何も書いていません。
どちらのパートも初見で弾けるようになったら、私と同等の初見の力が身についています。
ですが、準備編を完璧にこなせるようになった人なら、多分弾けるのではないでしょうか。
余談ですが、ソルの最期(舌癌か喉頭癌か)を看取ったのは、このリラ嬢の父親でした。
ソルにとってリラ嬢とは、親しい関係だったことが想像できますね。
続いて、作品39の方ですが、こちらは先ほど紹介した作品44bisよりも難易度が高いです。
この曲は、2曲目だけがソルの曲で、他は別の作曲家のオーケストラの曲の編曲です。
というわけで、6つのワルツが2つあるので、計12曲あります。
更にパートも2つあるので、合計24パートあります。
私は留学前、二重奏の曲を初見で弾くという練習を、本当にたくさん師匠にしていただきました。
そのおかげで、初見が上達しました。(未だ師匠の足元にも及びませんが…)
ぜひ初見の練習に活用して下さい。
初見のコツは、
- 間違えても弾き続けること
- 何小節か先を見ること
- 常に体でカウントを感じ続けること
- 無理だと思ったら、音を省いてもいい
- 運指は適当でいい
- 何だったら音も適当でいい
細かいことは気にせず、何が何でも弾き続けることが初見のコツです。
それと、Youtubeの設定(歯車のマークのところ)から再生速度を変更できますが、あまりゆっくりしてしまうと目が停滞してしまって、弾いている小節の先を見るという初見の鉄則から逸脱してしまいますので、あまりおすすめはしません。
それでは、全画面表示にして、私と一緒に弾きましょう!
F. ソル – 6つのワルツ(Op. 44bis)
F. ソル – 6つのワルツ(Op. 39)
今回、初見についての記事を書くために、色々と勉強したり、どうすれば効率よく上達できるのか等、あれこれと考えてきました。
そうする中で、前から不思議に思っていた疑問にも納得のいく答えが見つかったりもしました。
- どうしてプロの演奏家でも、初見ができる人とできない人がいるのだろう
- (私の肌感覚で)どうして作曲家の人は、初見ができる人が多いのだろう
その一つの答えとしては、作曲家の人は
- 楽譜を俯瞰的に捉えている
- 頭の中で音がイメージできている(音符をいちいち読んでいない)
- コードの理解が深い
- 耳が良い(ソルフェージュの能力が高い)
- 音楽理論に詳しい
これらの点において、演奏家よりも優れている場合が多いからじゃないかと思い至りました。
今回、頑張って実践編も終えて、更なる高みを目指したいという方がいたら、楽典とソルフェージュを勉強することをお勧めします。